現役時代に見つけたかった本をいまさらになって読んでいる。
水泳 日大豊山式4泳法強化法 という書籍である。
年間を通しての練習メニューの組み立て方や、フォームの改善の仕方、陸上トレーニング・ストレッチのことまですべてのことが書いてある本だ。
もちろん、ここに書かれていることを全部真似すればいいのかというとそんなことはないだろうが、参考にできる部分は多数ある。
特に、フォーム改善のためのドリルについてはかなり有益なのではないかと思っている。
泳ぎの中心はキック
明確に書かれているわけではないものの、自分がこれまでしてきた練習と比べて明らかにキック強化を目的とするメニューが多い印象である。
基礎練習をする機関においては、200mなどの長い距離のメニューをたくさん入れ込んでおり、想像しただけで苦しそうな練習が多数あった。
このようなメニューをやっていれば、それは速くもなる、と納得のメニューたちであった。
サイクルの目安がかなり速いので、そこは自分たちのレベルに合うように調整するのが良い。
ページの構成
なぜこのような構成にしたのかわからないが、見開きで左側を距離別のある時期における練習メニューの例が細かく記載されていて、右側にはフォーム改善のためのドリルtipsが書かれているのだ。
例えば、第1章のはじめには
量的強化期・ショートグループメニュー が見開き左側にあり
水中姿勢の確認 が見開き右側にある。
見開きの右と左のページには関連がないのだ。
ものすごく読みづらい。
余白の関係でこのような形にしたのであろうが、もっとどうにかならなかったのかというのが正直なところである。
運動強度が明確でない
練習メニューとサイクル、そのメニューをこの時期に行う意図は明確に書かれていてとても分かりやすいのだが、書いてある通りに行おうとすると普通の人にはレベルが高すぎる。
日大豊山は水泳の名門であるが、どの程度レベルを落とせば自分に合った練習になるのかがわからない。
HR(心拍数)を目安でも書いてくれれば、そのままでもものすごく参考になる本であったのだが。
この時期はこのような練習をすべき時期であるから、このくらいの運動強度を維持することが望ましく、今の自分のレベルはこのくらいだからこのサイクルで回ればおそらくこの運動強度を達成できる。
ということを考えられるくらいの知識と経験がないと、この本を使いこなすのは難しいということだ。
練習の目的をくみ取ったうえで、自分のレベルを把握しているという高度な知能が求められているわけである。
運動指導者が持つべき知識が書いてある
この本はただの練習メニューを載せた本ではない。
陸上のトレーニングやコンディショニングはもちろんのこと、チームビルディングやメンタル調整の方法、栄養についてのことなども量は少ないものの記述がある。
練習メニュー以外のことについては、ほんの触りくらいしか書かれていないが、知っておいたほうが良いことについては明文化されている。
その点はものすごくいい書籍であるように思った。
メンタルや栄養についてはあまり真剣に指導しなかったり、知識が少なかったりする人も多いので、ほんの少し書かれているだけでも素晴らしいことであると思う。
まとめ
総合的にみると、水泳に対してある程度熱がある人は確実に買ったほうが良い書籍である。
全部を参考にする必要はもちろんない。
参考にできるところや、考え方だけ借りるというのもありだと思うし、筆者もそのように読むことを勧めている。
わからないことがあったら、ネットで検索しながら読み進めていくと、理解が深まりより効率的な練習ができるのではないかと思う。
私自身もここに書かれた知識を使って、指導していこうと思うし、自分自身も久しぶりに練習をしたくなってきた。
良い本に出合えてよかった。
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