すぐに上達する!正しい平泳ぎをするための練習法【ブレスト】

コラム
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競泳の競技種目として一般的に採用されている4種目のうち、平泳ぎだけは全く別の軸で戦わなければならない種目である。

クロール、背泳ぎ、バタフライの3種に関しては体が成長したり、筋肉をつけたりして推進力を得ることによって記録が伸びる一方で、平泳ぎに関してはその要素は少ない。

むしろ、下手に筋肉をつけることで泳ぎが崩れタイムが伸び悩んでしまう原因になることもある。

平泳ぎだけは水を蹴って進んでいるときのストリームラインの姿勢が最も重要なファクターだからである。
ほかの泳法で、これほどストリームラインの時間が長いものはない。

そのため、筋力などの身体的な能力が必要なクロールやバタフライで日本人トップ選手が少ない一方で、技術の必要な平泳ぎのトップ選手が多いのである。



5段階の練習方法

正しい平泳ぎを身に着けるにあたっては5段階で練習していく必要がある。

第1段階 ストリームラインの習得
第2段階 キック動作の習得
第3段階 プル動作の習得
第4段階 呼吸動作の習得
第5段階 キックとプルのコンビネーションの習得

という流れである。

1つ1つ解説していく。

第1段階 ストリームラインの習得

平泳ぎというよりは、競泳の基礎である。
これを習得してしまえば、ほかの泳ぎにも流用できる。

いきなり水中でやるのではなく、まずは陸上で正しい姿勢を知ることから始める必要がある。

陸上で腰に力を入れる練習

ストリームラインはただ単にまっすぐになればよいというわけではない。

泳ぎの動きがより効率的になるようにしなければならないので、少し変形させる必要があるのだ。

競泳は水に浮いた状態で行うので、力のかなめは腰になる。
なので、腰にしっかりと力が入る状態にしつつまっすぐにするのだ。

まっすぐ立った姿勢から膝を少し曲げる。
肩の位高さを動かさないようにしながら、膝を伸ばす。
この時に腰に力が入るようにする。コツとしては、お尻を少し突き出すようにするとよい。

この状態が「腰に力が入った状態」である。
何度も行うことで体にしみこませてほしい。

腰に力が入った状態が分かるようになったら、腰に力が入った状態のままストリームラインを作る。
これが目指すべき形だ。

鏡を見ながら目で見て覚えるのもよし。
何度も繰り返し陸上でやって感覚を覚えるのもよしである。

水中で腰に力を入れる練習

腰に力を入れる感覚が分かってきたら、次は水中で試してみる。

水中では支えがないので、少し感覚をつかむのが難しい。

ストリームラインを作って水面に浮いてみる。
この時、足が下がってしまってもよい。
ただし、後頭部とお尻は水面に出ている必要がある。
この姿勢を作れていれば、ほぼほぼストリームラインはマスターしたも同然である。

水中でストリームラインをとり続ける練習

より実践に近い形として練習する方法である。

壁を蹴ってスタートした後、ストリームラインのままどこまで進んでいくことができるかをやってみる。
正しいストリームラインであれば、25mまでいくことも夢ではない。15mあたりで止まってしまう場合はまだまだ不十分なので、通常の練習の中でも意識をして改善していく必要がある。

第2段階 キック動作の習得

キックの動作の練習方法は以下の記事に詳しく書いているので、それを読んでほしい。

この記事においてはもう少し細かいところについて解説したい。
細かいところ、というのは最後のもうひとのびについてだ。

抵抗がないように足をひきつけ、できるだけ多くの水を勢いよく蹴る。
平泳ぎのキックの中で一番大切な動作であるが、それだけではほかの人と同じである。

神は細部に宿る、というように細かい部分こそが差を生み出す。

それは水を蹴った後の足首の返しである。

足の裏で水を蹴る感覚を身に着ける

プールサイドに腰かける。
足首から先を水につけ、つま先をそろえてピンと伸ばした状態でスタート。
足首を返しながら、つま先を上に向けてしっかりとひきつける。
かかとを付けたまま、足裏で水を挟み込むようにして蹴り、スタート位置に戻る。
これを繰り返す。

はじめはしっかりと足の裏で水を押している感覚が得られるようにゆっくり行う。
慣れてきたら、勢いよく水が蹴れるようにスピードを上げてみる。

しっかりと水が押せていると感じたら習得である。

実際のキックと組み合わせて練習してみよう。

第3段階 プル動作の習得

プル動作の中で特に重要な、キャッチの部分にフォーカスした練習について解説する。

キャッチ部分がしっかりとできていれば、何とかなるからだ。

キャッチの練習で一番良いのは、スカーリングである。

プルブイを挟んだ状態でストリームラインを作る。
小指を意識しながら水を掻いていき、肘が立ったところで最大量の水が欠けている形にする。
そのまま手を前に戻し、動作を繰り返す。

このときの注意点としては、小指を意識して水を掻くことと、手のひらが進行方向と逆向きに向いていることである。
手のひらが床や体のほうに向いているということは、水が逃げてしまっているということである。
ゆっくりとした動作でよいので、意識して行う。

第4段階 呼吸動作の習得

呼吸動作は、最も大きな抵抗を受ける動作である。
たかが呼吸と思ってテキトーにやっていると、全くタイムが伸びなくなる原因になる。

呼吸のタイミングは、プルの動作で体が上がってくるところで自然にできることがベストである。

呼吸をしようとか、できるだけ長く水中にいたほうがいいなど余計なことを考えると逆に抵抗になる。

自然なタイミングで呼吸ができているかを確認するには、目線を意識すればよい。

呼吸をしたときに、真正面に壁が見えるような状態は体が立ちすぎている状態である。
肩に力が入ってしまっていることが予想される。

逆に水面が目の前にある、という状態は顎を引きすぎている状態である。
顔を上げるタイミングが少し遅い傾向がある。

一番いいタイミングは、上目遣いで向こう岸が見えることである。
目線を意識して行うと、人に見てもらわなくても改善することができるようになる。

第5段階 キックとプルのコンビネーション動作の習得

キックとプルそれぞれについて効率のいい動き方とその練習方法について解説してきた。
最後はそれを組み合わせるだけである。

ここで大切になってくるのはタイミングである。
キックで最も推進力を得ているときにプルが邪魔したり、プルの最中にキックの準備で足をひきつけて邪魔をしたり、といったことがないようにする必要がある。

プルと呼吸を行っている最中には、足をしっかり水面と平行に保っておく。
呼吸をし終えて体重が前にかかり、手がまっすぐに伸びたタイミングで足をひきつけはじめ、キック動作をしていく。
キック動作をした後は、すぐにプルを始めるのではなく、ある程度伸びて推進力を殺さないようにする。

2回/3回キック→1回プル

タイミングを身に着けるための練習としては2回または3回キック、1回プルというドリルがおすすめだ。

通常よりもキックを多く打つことで、プルのタイミングに集中することができるようになる。
始めはタイミングを正確に身に着けるためにゆっくりと行う。
慣れてきたらスピードを上げていき、通常のスイムのタイミングでできるようになるまで繰り返すとよい。



まとめ

以上、5ステップにわたって解説してきたが、どれもこれも一朝一夕で身につくようなものではない。
日々の練習の中で少しづつ上達していくものである。

ストリームラインの練習なんかは、通常の練習の中でも意識することができる。
ターン後に蹴のび時間を少し長めにとるなど、工夫をすることでいつでも練習することができる。

なんにせよ時間のかかることなので、オフシーズン中に集中して取り組むのが良い。

繰り返し練習することで確実に速くなる。

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